毎日、新型コロナウイルスの報道ばかりですね、、、

感染者数の増加
緊急事態宣言
外出自粛要請
個人事業者の廃業
中小零細企業の倒産
・・・・・・

心が沈んでしまいますね、、、

一生に一度体験するかしないかの危機的状況です。

まずはご自身と大切なかたの健康と命を第一優先に考え、予防策を徹底的に講じることが大切です。
そして、このような状況下で不安な気持ちであっても今だからこそ「前向き」に考えることが非常に大事になります。

不動産投資家であるあなたも「これから賃貸経営はどうなってしまうのだろう、、、」と不安ですよね。

日本,不安

しかし不安であっても現実を考えた場合、この影響で賃貸経営に支障がでる可能性をできるだけ早く予測しなければなりません。

「あの時こうしておけばよかった、、、」と後悔しないためにもできるだけ早めに準備をして対応策を検討しておく必要があります。

この章では世間を騒がせている疫病に対して不動産投資家さんが、現状を把握し、想定できるリスクを認識し、対応策を考え、どのように行動するのか?を理解していただくと共に今後影響がでると予測される事項を説明していきます。

不安にならずに1つずつ理解して対処していきましょう。

Contents

不動産会社の現場では「今」何が起きているのか?

1 入居者から「家賃が払えない」と相談がきている

入居者から家賃が払えないご相談は毎日きています。

要因は

  • 個人事業者の仕事が激減した
  • 勤務先の会社から給料が支給されない
  • アルバイトを突然クビになった
  • 就職先が決まっていたが取り消された
  • ・・・・・・・・・・

現実はかなり厳しい状況です。

不安,家賃滞納

マスコミ報道などで会社やお店などの一部に「休業要請」がでていますが、休業できる会社やお店はまだいいほうで、「毎月の売上がないと継続していけない」というのが個人事業者であり中小零細企業の大半なのです。

家賃滞納はいけないことですが「払いたくても払えない」

ある意味入居者が家賃を払えないのは仕方ない、どうしようもできない、というのが現状です。

2 入居者から「家賃を減額して欲しい」と相談がきている

上記1と同様の内容です。

  • 給料が満額支給されない
  • アルバイトの日数や時間を減らされた
  • クビになった
  • 先行き不安で精神的にまいっていて仕事に行けない
  • 感染してしまうのではないか?感染させてしまうのではないか?との不安で仕事に行く気持ちはあるが電車に乗りたくない、人と触れたくない、との理由で仕事に行けない

ことが要因です。

3 入居者から「更新料が払えない」と相談がきている

上記1、2と同様の内容です。

4 入居者から「更新料を減額して欲しい」と相談がきている

上記1,2と同様の内容です。

5 賃貸オーナーさんから家賃未入金の相談がきている

いままで一度も家賃滞納をしたことがない入居者から家賃が入金されなくなってきています。

まだ不動産会社の現場では、あからさまに「家賃滞納が増えた」との実感はありません。

しかし、会社へかかってくる電話にでるたび「家賃滞納が増えてくるだろう、、、」とは全従業員が感じ始めているのは間違いない事実です。

6 賃貸オーナーさんから今後の賃貸経営、借入の返済についての相談がきている

賃料の入金は賃貸経営にとって唯一の「売上げ」ですので家賃滞納や遅延があれば当然ながら不安になる要素です。

7 賃貸オーナーさんから家賃未納や遅延、家賃減額を求められている入居者について相談がきている

家賃滞納や遅延は死活問題ですし、家賃減額請求はあまりご経験のないかたが多いため相談件数が増加しています。

不動産会社の従業員であっても「家賃減額請求」はあまり経験がないケースです。

今後予測されること

給料減額や失業者の増加、倒産、感染予防による外出自粛継続等により下記のことが予測されます。

  1. 入居者、テナント事業者
    ・家賃滞納者の増加
    ・生活保護申請者の増加
    ・光熱費の未払い
    ・夜逃げの増加
    ・自己破産者の増加
  2. 賃貸オーナー
    ・空室の長期化
    ・ローン支払い滞納
    ・ローン支払い不能
    ・差し押さえ物件の増加→競売、任売物件の増加
    ・賃貸経営収支の悪化
    ・新規融資借入による債務過剰
    ・民泊事業の収入激減
    ・原状回復工事の遅延
    ・工事未完成状態等で放置物件の増加
    ・内装業者の倒産
    ・賃貸保証会社の倒産
  3. その他
    ・不動産会社、管理会社の倒産
    ・不動産価格の下落
    ・賃料の下落

対応策について

対応策は大きくわけると2つになります。

1. 賃貸オーナーさんご自身の対応策

2. 入居者への対応策

1. 賃貸オーナーさんのご自身の対応策

融資の支払いについて

投資物件であるアパート・マンションは融資を受けて購入したかたがほとんどです。

ローンの支払いは今まで通り支払い、家賃収入が減収となると毎月の収支がマイナスに転じてしまう恐れがあります。

収支

マイナスの額によりますが、会社からの給料など他に収入があり補填できる範囲であればこのままでもいいかもしれません。

しかし1棟1戸の区分マンションを所有されている場合等、家賃滞納になってしまうと、収入は0になってしまい、入居者もお金がないのですぐに退去してもらえるかも不明です。

家賃が入らず居住され続けた場合、最悪は裁判所に強制執行手続きをおこなうなど多大な費用と時間がかかってしまいます。

赤字補填が厳しいのであれば融資を受けている銀行に支払額の減額を要求する必要が早期にでてきます。

支払額の減額にはいくつか種類があります。

  • ローン支払い期間を延長する → 毎月の支払額が下がる
  • 金利交渉 → 金利が下がれば支払額が下がる
  • リスケジュール → 最長1年が多いですが元本を1年間据え置き(支払わない)にして金利だけ払うことにより毎月の支払額が下がる

金融機関への交渉はハードルが高いと思われがちですが、このような状況下であれば相談にのってもらえる可能性が高いです。

相談

 

もしも交渉は苦手、どうしていいのかわからない、というかたは早めに私に相談してください。
何かしらお手伝いができると思います。

 

ご相談のお申込みはこちらから

新規借入で毎月の費用を補填する

政策金融公庫や他の金融機関でも「救済措置」を積極的におこなっています。
融資を受けて何年かは支払い猶予ができるなど内容も充実しています。
※以下 経済産業省の融資に関する資料

経済産業省 新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ

難点としては積極的に融資を受けられますが、提出する書類が多いのでその段階であきらめてしまうかたが多いことです。
返済に関して今後どのように返済するかなどの「事業計画書」の提出が必要だからです。

政策金融公庫に関しては以前私も経験があるのですが、私が自分で事業計画書などの書類を作成して融資の申し込みをしたら却下されたのですが、すぐに知り合いの税理士に書類を作成し直してもらい再度提出したら一瞬で融資が決定したのです。

このように少し書類作成に関してハードルが高いので、ご自身での作成が難しいようであればご相談ください。
融資に精通している税理士等をご紹介致します。

ご相談のお申込みはこちら

ただし、あくまでも「借入れ」であり、いつかは返済する必要がありますので融資を申込する際には将来的な返済計画を必ず立ててください。

原状回復工事の遅延、内装業者の倒産、工事未完成状態で放置

原状回復工事や内装工事に関してはオーナーさんというよりかは管理会社向けかもしれません。

しかし、工事の遅延や放置などとなるとオーナーさんにとっても死活問題になりますので予測だけはしておきましょう。

工事業者

内装業者さんによりますが、まず真っ先に表面化されるのが
「居住中の内装工事件数の激減」
が予測されます。

居住者も内装業者も人と接するのを敬遠するからです。

 

そうなると、内装業者は工事件数が減り収入が減ります。

これにより材料購入資金の不足が生じ工事途中でいきなり中断して放置される懸念がでてきます。

このような情勢でなくても、工事業者の途中放棄は何度も経験があります。

依頼する工事業者の選定は管理会社ともよく話し合ってください。

民泊事業について

真っ先に表面化したのが「民泊」です。

民泊での投資をおこなっているオーナーさんはかなり厳しい状況だと察します。
いつ旅行者、出張者が元に戻るかわからない状況ですし、民泊専門管理会社はすでに倒産してしまった会社もあります。

旅行,民泊,出張

賃貸物件を借りて運営しているかたは一度手じまいを検討してみてはいかがでしょうか。

賃貸物件を借りたまま近隣の住民を相手に時間貸しする手段もありますが、ここは思い切って損切りすることが賢明と私は判断します。

状況をみて時期がきたら再度チャレンジすることも投資判断としては大事なことです。

 

物件を購入して民泊を運営していたかたは下記が選択肢になります。

  • 民泊事業継続
  • 時間貸しによる運営
  • 感染者受入れ
  • 賃貸へ業態変更
  • 売却

また、民泊管理会社の運営はかなり厳しい状況ですので、倒産した場合売上金が支払われないなどのリスクは予測しておく必要があります。

民泊仲介大手「エアビーアンドビー」では予約の取り消しを受けた民泊事業者に対し資金的な支援をする取り組みをおこなっていますので是非活用してください。

日経新聞記事抜粋

2. 入居者への対応策

入居者から

  • 家賃を支払えない
  • 家賃を減額して欲しい
  • 更新料を支払いできない
  • 更新料を減額して欲しい

主にこの4つの相談がくると思われます。

まずは相談内容を

  • 受け付けない
  • 受け付ける

このどちらかの判断をする必要があります。

事実私の会社でこのような相談がきた際、オーナーさんの回答は上記のように2つに分かれています。

「受付けない」場合

そのまま「家賃等の滞納」という扱いになり今後入居者に督促していくことになります。

督促状

あたなは賃貸経営者ですのでご自身の「お金」も大事なはずです。

入居者が大変だから何とかしてあげたい、と心の中で思っていてもそうはできない場合もあるでしょう。

 

どちらがいい悪いではありません。

賃貸経営が成り立たなくなり、最悪の場合ローンの支払いができなくなると物件が差し押さえられ競売になります。

その場合、別のお部屋に住んでいる入居者に多大な迷惑をかけてしまうことにも成りかねません。

「受け付ける」場合

対処方法はわかれます。

  • 一時的対応として減額や支払猶予を承諾して後から未払い分を支払ってもらう例えば3ヶ月のみ要望に応じるという内容です。
  • 一定期間減額や未払いを認め、今後その分は回収しない

まずは入居者とじっくり話し合いをする場を設けてください。

相談,話し合い
このご時世では対面は難しいと思いますのでオンラインを利用して入居者の現状を把握する必要があります。

入居者との話し合いが苦手、というかたは管理会社の担当さんや他業者の人でもいいので信頼できる人に仲介に介入してもらいましょう。

どのケースにしても決まった内容は「書面に残す」ことが重要になります。

また、このような状況を利用して家賃は通常通り支払いができるのに減額を求めてくるケースも考えられますので、入居者の現状や収入、貯蓄の状況をしっかりと把握した上で結論をだしましょう。

3.その他の対応策

原状回復工事や設備工事などについて

今後、何かしらの工事(設備の交換や外装工事など)を進めようとお考えの場合、早急に必要な工事であれば依頼する工事業者の経営状況などを把握しておく必要があります。

先に着手金でいくらかお支払いするケースなどは特に注意が必要です。

お金

 

急ぎでない場合は時期をずらすことが賢明でしょう。

 

 

 

固定資産税・都市計画税の減額交渉

年に一度お支払いしている「固定資産税、都市計画税」に関しては、役所に根拠を示して交渉すると減額が成立する場合があります。

管理会社担当者や税理士、弁護士と相談して減額申請をするのも1つの方法です。

助成金の申請

賃貸経営者に対して何かしら助成金の対象となる可能性があるかもしれませんので管理会社担当や社労士に該当する項目がないか相談してみましょう。

助成金はその種類により申請期間が決められているものがありますので、随時情報を入手していきましょう。
新たな助成金が発表された際はこの記事に追記していきます。

現在、生活困窮者自立支援制度の改正により、入居者へ「住居確保給付金」の拡充がおこなわれています。
オーナーさんや管理会社から家賃の支払いが困難なかたへ斡旋するのも1つの手段です。

国土交通省 新型コロナウイルス感染症に係る対応について

賃貸保証会社のリスク

すべての賃貸保証会社に該当しませんが、家賃滞納者が激増した場合、賃貸保証会社が賃料の保証をしない(できない)ケースや、倒産するリスクがあります。

上記の場合、保証人がいない賃貸借契約になりますので、別に保証人をたててもらうか、オーナーさんの費用で別の賃貸保証会社に加入することになります。

賃貸経営計画の立て直し(一人で考えないで信頼できる人に相談する)

上記内容も含め、今後の不動産価格や賃料の下落がどのようになりそうかを把握することが必要です。

一時的に融資等で切り抜け、5年後に賃料が下落するようでは賃貸経営が成り立ちません。

相談

 

この場合は「売却」も視野に入れる必要があるかもしれませんので、信頼できる人に全般的な相談をして賃貸経営計画を立て直すことをおススメ致します。

 

 

 

管理会社等の再選定

賃貸のお部屋探し、住居購入、投資物件の売買すべての分野においてユーザーなどの動きが激減しています。

行動が抑制されている上、電車に乗りたくない、人と接したくないという気持ちが強く、更に心理的に今何かをしようという意欲の薄れが顕著に表面化しています。

特に賃貸の引越しなどは必要に迫られない限り時期は見合わせするでしょう。

現在空室がある場合、今まで以上の特別な空室対策を考え実行する必要性がでてきます。
※空室対策については下記を参照してください。

アパート・マンション空室対策のアイデア すごい技56選 ~空室対策研究所~

そして、入居者から預かっている「敷金」「退去時のリフォーム代」などを管理会社に預けている場合は早急に「自分で預かる」旨を伝えて管理会社から回収しましょう。

業績が悪化したり倒産した後では未回収になってしまいます。

敷金等を振込して欲しい、と管理会社に依頼して拒んだり遅い時期を設定された場合は要注意です。

まとめ

細かいことを言えばまだまだ出てくる問題はあります。

例えば

  • 入居者が携帯料金を支払いできず連絡がつかなくなる
  • 感染者が入居者にいて建物中に広がり除菌が必要になる
  • ・・・・・・・・・・

冒頭でもお話しましたが、あなたは賃貸経営者ですので厳しいようですがこのような状況下でも前向きに物事を進めていかなければなりません。

人として入居者が困っているならできる範囲で救済していく、という考えもいいですし賃貸経営者として断固として収入は確保する、これもありです。

また、このような状況だからこそ依頼している管理会社や担当さんがどこまで対応してくれるのか、どういう考えなのかという本質がわかるいい機会でもあります。

状況が悪化しないことが一番理想ですが、この機会にあなたの賃貸経営を1から見直すいい機会だと捉えて、収支改善や今後の賃貸経営計画を立て直してみてはいかがでしょうか?

何よりも何かが起きた後ではなく、早い段階で動くことが一番重要ですので誰かに相談するという、いち早い行動を取ってください。