ここ数年でお部屋を借りる際に保証会社という言葉がよく出るようになりましたね!?

同時に
「いったい保証会社ってなに?」
「お金かかるの?」
「加入しないといけないの?」
という声を聞くことが増えました。

ここでは賃貸を借りる時に加入する「保証会社」について解説します。

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保証会社ってなに?

保証会社とは家賃保証会社といわれており、万が一にあなたが家賃の支払いができなくなった時に家賃を立て替えてくれる会社です。

また、家賃以外にも室内をひどく汚したり、破損させたりした場合に弁償する費用もあなたが支払いをできなかった際には連帯保証人に支払っていただくことになりますが、こちらも保証会社が立替えます。

2000年代中頃までは親族の方に連帯保証人になってもらい万が一の借主が家賃等の支払いを滞ってしまった時には、借主にかわり連帯保証人に家賃等をの支払債務が滞るとお支払いいただく、という契約が通常でした。

この頃にも保証会社の存在はありましたが、まだマイナーな存在で今とは対象となる借主が違いました。
当時の入居審査(大家と不動産屋が契約前に貸すかどうか審査すること)は、だいぶ厳しく審査されていた為、今よりも部屋を借りるのが困難だったのです。

そのため保証会社は下記の境遇の人向けのに利用される傾向がありました。

  • アルバイト、派遣の方
  • 水商売の方
  • 外国籍の方
  • 親との関係が良くなく保証人を頼めない方
  • 連帯保証人が遠方にお住まいの方

2000年後半からは大手不動産会社から町の不動産屋までお部屋を借りるには保証会社への加入条件が大半になってきました。
そして保証会社が家賃を立て替えた場合、未払いの家賃分は借主が保証会社に支払わなければいけません。

保証会社が支払うから自分は払わなくていいというわけではありませんので注意しましょう。

なぜ連帯保証人ではなく、保証会社への加入条件が増えたのか?

残念ながら連帯保証人を用意できて家賃をしっかり払うあなたにメリットはありません。

ずばり答えは2つです!

1つ目は大家さんにとって安心だからです!
2つ目は不動産屋にとって手間が省けるからです!

実は日本中で家賃滞納は増えています!

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日本賃貸住宅管理協会の調査によると、近年の滞納率は以下のようになっています。
2010年上期:5.6%=18戸あたり1戸の滞納
2014年上期:6.4%=15戸あたり1戸の滞納
2017年上期:6.5%=14戸あたり1戸の滞納
2019年上期:4.5%=22戸あたり1戸の滞納
※首都圏における月初時点の滞納率(四捨五入計算)

公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会 資料

全国の滞納率は更に多く、2017年上期では8.2%と12戸あたり1戸の滞納となります。

大家さんによっては家賃を自分で集金(実際は借主から大家さんへ振込)という事も多く、この場合に滞納があっても直接言いづらく何カ月も滞納され続けている大家さんもいます。

また家賃を不動産屋が集金する場合も多くあるのですが、この場合は滞納者がいると不動産屋は毎月月初に督促に追われることになります。

そこで保証会社があると大家さんは家賃滞納を回避できるのと、不動産屋は督促の手間が省けるということです。

2019年は2017年に比べて2ポイント減少していますが、これは保証会社の影響が大きいと思います。
というのも、保証会社にはクレジットカードのように決められた日に家賃を引き落とす会社が増えてきています。もし、引落しができなかったとしても月末までに保証会社が家賃を立て替えるわけです。
そうすると当然に滞納率が下がります。

大家さんにとっても不動産屋にとってもメリットになるので保証会社加入条件の物件が増えてきているのです。

保証会社の費用の相場はいくら?

初回に月々の総支払額の40%~60%、その後は1年ごとに1万円!
初回に月々の総支払額の30%~50%、毎月の家賃等の総支払額に1%がかかることも!
これは保証会社によって異なります

月々の総支払額とはどういうことか?

初回にかかる費用を月々の総支払額50%を例にして解説します。

  • 家賃10万円+管理費(共益費)なし=5万円
  • 家賃9.5万円+管理費(共益費)5千円=5万円
  • 家賃9.5万円+管理費(共益費)4.5千円+駐輪場代500円=5万円

このように家賃だけではなく管理費や駐輪場代など月々にかかる費用全てを足した額となります。このほかにも駐車場代や水道代などが月々の家賃とは別途かかる場合にはこれらも足した額の50%が初回にかかります。

保証会社は1つじゃない! 多くの種類がある!

各保証会社によって保証費用や審査内容は異なります。
保証会社の組織は複雑に絡まっていますが、おおまかに保証会社を分類すると3つ!

  • 信販系保証会社
  • 全国賃貸保証業協会(LICC)系
  • 独立系保証会社

それでは各系列の保証会社の特徴をみていきましょう。

信販系保証会社

クレジットカード会社またはそのグループ企業が運営している保証会社です。
クレジットカードやローンの支払履歴といったいわゆる「信用情報」を、審査材料にして判断します。

「信用情報」にはほとんどのクレジットカード会社が履歴を共有できるように登録されているので、過去にカード事故を起こしていたりいる、多重債務になっている、自己破産の経験があると審査は厳しいといえます。

また、最近では携帯電話を購入する際に分割払いにする人が多くなりました。実はこれも滞納すると「信用情報」にのることもがあります。

【よく使われている信販系保証会社】

  • アプラス
  • エポスカード
  • オリエントコーポレーション(オリコ)
  • ジャックス
  • 関西クレジットサービス
  • セディナ

全国賃貸保証業協会(LICC)系

全国保証業協会(以下LICCという)は家賃債務保証事業者協議会という組織に加盟している会社のうち一部の保証会社が集まり内部組織として設立されました。

LICCは加盟している保証会社間で申込内容や家賃滞納の履歴などを共有しています。過去にLICC系の保証会社を利用したことがあり、その際に家賃や更新料を滞納したり、問題を起こしたことがある人は審査に落ちることがあります。

【LICC加盟保証会社】

  • 全保連㈱
  • アーク㈱
  • ㈱アルファー
  • エルズサポート㈱
  • ㈱近畿保証サービス
  • 興和アシスト㈱
  • ジェイリース㈱
  • 賃住保証サービス㈱
  • ニッポンインシュア㈱
  • ホームネット㈱
  • ㈱ランドインシュア
  • ㈱リクルートフォレントインシュア
  • ㈱レジデンシャルサービス
  • ㈱ギャランティティー・アンド・ファクタリング

独立系保証会社

独立系保証会社は信販系でもなく、LICCにも加盟していない保証会社です。

独立系保証会社同士で手を組んで組織を設立していたりしますが、信販系やLICC系のように企業間で情報を共有していませんので、クレジットカードや他社での家賃の滞納履歴までは調べられないといわれています。

カード事故や家賃滞納を起こしたことのある人は「独立系」の保証会社であれば審査が通る可能性があります。

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【よく使われている独立系保証会社】

  • 日本賃貸保証(株)
  • SBIギャランティ(株)
  • 日本セーフティー(株)
  • (株)CASA
  • フォーシーズ(株)
  • ALEMO(株)
  • 賃貸あんしん保証(株)
  • レジデンシャルパートナズ(株)

保証会社は自分で選べるの?

残念ながら選べません!

上記に述べたように保証会社によって費用や審査の基準が異なるので都合がいい保証会社を選びたいですよね!?
しかし、残念ながらあなたに保証会社は選べないのです。

なぜかというと不動産屋(稀に大家さん)と保証会社は提携しています。
そのため借りたい部屋を管理(募集)している不動産屋が紹介できる保証会社は限られているからです。

不動産屋が提携できる保証会社の数に決まりはないのですが、だいたいの不動産屋が提携している保証会社の数は2~4社ほどです。
この2~4社の中で各不動産屋(または物件によって)メインとする保証会社を決めていて、メインの保証会社の審査が通過しない場合は他の保証会社にも審査を依頼することがあります。

不動産会社の規模によって保証会社の系統が違う?

これは一概にはいえませんが保証会社の系統が違う傾向はあります。

大手不動産会社や全国区や地方区でフランチャイズ展開している不動産屋はメインとする保証会社は「信販系」を多く利用している傾向があります。

大手不動産会社とは財閥系や電鉄系などの大企業のグループ企業です。これらの企業は「信販系」の審査に通らなければ部屋を借りるのは厳しいと覚悟してください。

フランチャイズの不動産屋にも大手はありますが、これらの不動産屋もメインは「信販系」ですが、もし審査に通過しない場合はLICC系や独立系の保証会社を使えるように用意しているケースがあります。

街の不動産屋や小規模な不動産会社はメインをLICC系か独立系にしていることが多い傾向にあります。

これは信販系の保証会社との提携には不動産屋(または大家さん)に毎月費用がかかり財政的に適していないことと、審査が厳しいため借り手がつかないことを避けるためではないかと言われています。

借りる側に保証会社のメリットってあるの?

借りる側にもメリットはあります。

先ほど保証会社の利用は大家さんと不動産屋にしかメリットがないと伝えましたが、これは貸す側と借りる側の1対1の話しになります。

あなたや連帯保証人の立場を考えるとまた違ったメリットがあります。

例えば私が10万円の家賃の部屋に連帯保証人を立てて借りようとすると、年金暮らしの親か、兄弟に保証人になってもらうことになります。
親が保証人になった場合、万が一に家賃を滞納したら年金暮らしの親に支払い請求がいきます。兄弟だとしても兄弟にも生活がありますから急に10万円を支払うのは大きな出費になります。

あなたも家賃の請求が突然身内である親兄弟にいってしまったら気まずいですし、嫌な気分になりますよね。

また自分の身に何か起きた場合には荷物の搬出や退去立会など連帯保証人にしていただくことになります。
これもできれば避けたいところです。

もちろん誰でも最初から滞納や問題をおこすことなど考えていないですよね。
しかし、将来のことは誰にもわからず、実際に滞納している方も最初から滞納しようとしたのではなく何かしら状況が変わって滞納してしまっているのです。

自分はぜったいに滞納することはないと思う方がほとんどだと思いますが、万が一に自分のせいで身内に債務を負わせることを考えると保証会社のほうが少し楽な気持ちになりませんか?

ここまで保証会社について解説しましたが、誰かに連帯保証人を依頼するたてる場合でも、保証会社を利用する場合でも家賃はしっかりと決められた日までに支払うこと、その他にも債務が発生するようなことがないようにすることが大家さん、不動産屋、連帯保証人(保証会社)との良い信頼関係になります。

今回借りる部屋だけが最後の引越ではないでしょうから今後の部屋探しの際に
連帯保証人になってくれない
保証会社の審査が通らない
などで「借りられる部屋がない」なんてことにならないようにしましょう。